4.2 アムステルダムインフォメーションモデル
アムステルダムインフォメーションモデルは戦略アラインメントモデルと同じく「ビジネスとIT」、「戦略と遂行」という観点から捉えています。
下記図のとおり、戦略アラインメントモデルに1列・1行が追加され、9つの要素に分けられています。
「ガバナンス」、「アーキテクチャ」、「インフォメーション」の観点でより詳細に記されています。
「ガバナンス(データ資産の価値を高めるために欠かせない統制ルール)」の詳細は別の記事で紹介します。
ガバナンスが発揮されることで、データの取り扱い方法が徹底されデータマネジメント全体の効率化につなげることができます。
「アーキテクチャ」についても同じく別の記事で紹介します。これはシステム的な観点で、構成される要素を体系的に配置し、全体最適化につなげるためのものです。
システム全体の設計図を作ることで、IT技術者でない方でもシステムの関係性の理解がしやすくなり、全員がデータマネジメントに参加する当事者意識を高めることができます。
「インフォメーション」については、(4.1「補足」インフォメーションとデータの関係について)を確認ください。
4.3 DAMA-DMBOKモデル
DAMA-DMBOKモデルはデータマネジメントの知識領域について、より詳細に取り扱っています。
DAMA-DMBOKモデルは3つの図式(①DAMAホイール図、②環境要因ヘキサゴン図、③知識領域コンテキスト図)で構成されます。
①DAMAホイール図
出典:DAMA日本支部
データガバナンスはデータマネジメントの活動の中心に位置し、それを取り囲むように複数の知識領域が存在します。
これらに取り組むことでデータマネジメントを成功へ導くことができます。
各領域の用語をみて、全ての詳細をイメージすることは難しいと感じます。
ここでは、まずざっくりとで構いませんのでそれぞれの意味について、以下の図で確認頂きます。
各知識領域の詳細については、今後記事にしていく予定です。
②環境要因ヘキサゴン図
これは次の図式で紹介する③知識領域コンテキスト図の理解に向けて参考にとなるフレームワークです。
「People(人)」、「Process(プロセス)」、「Technology(技術)」がキーファクターとなり、それぞれに2つの要素が存在します。
例えば「People」の場合、Organization & Culture(組織と文化)とRoles & Responsibilities(役割と責任)が重要です。
「Organization & Culture」では、組織のデータ活用の立ち位置を把握し、データマネジメントに取り組むためのモチベーションを向上させるアプローチからデータ活用組織の設計、業務組織のデータ活用成熟度を測るための指標設定などに取り組みます。
「Roles & Responsibilities」では、組織・個人単位での役割の定義、ビジネス担当とIT担当の連携、ゴールまでにスキルギャップが生じた場合の能力習得の実施などに取り組みます。
3つのキーファクターとそれに紐づく要素を理解した上で、次の「知識領域コンテキスト図」に進みます。
③知識領域コンテキスト図
「知識領域コンテキスト図」では、各知識領域に取り組む際のゴールの定め方、達成に向けたアクティビティ(計画・開発・統制・運用)を実行する際の流れが書かれています。
かつ、それをビジネスとITの両方の観点でリスト化しているのが特徴的です。
前項でも何度かお伝えしてきましたが、「ビジネス担当者とIT担当者のコラボレーションは必須」です。
その一番の理由は、「両者の力を連携させることで、最適なデータ活用の在り方を創造できる」からです。
「知識領域コンテキスト図」では、「ビジネスとIT」のそれぞれが取り組むべきことを明確化し、行動につなげるための指針となります。
互いに協力し、デジタル化・デジタルトランスフォーメーションを進めていきましょう。
ここまで紹介したフレームワークは、データマネジメントに取り組む際の基本です。
実際に取り組む場合には、知識領域間の関係(例:データガバナンスとデータ品質はどう関係するの?)の疑問についても意識して進めなくてはいけません。
その問題に対応するのが、次の記事で紹介するDMBOKピラミッドです。